コラム

【柔道のチカラ】これからの“教育”とは?

「失われた30年」という言葉があります。
これは日本のバブル経済期が1990年代初頭に終了するとともに始まった不景気を指す言葉です。

世界のGDPに占める日本のGDPの割合を見ても、平成6年には17.6%だったのが、平成29年は6.1%。
また、世界時価総額ランキングの世界TOP50社を見てみても、平成元年には日本企業が32社を占めていたのに対し、平成30年には1社のみ(トヨタ35位)と、国際的にも日本の存在感や影響力が失われていったことは一目瞭然です。

また、近年、日本の研究力の低下が指摘されています。
文部科学省の調査によると、科学技術に関する論文数は、20年前(2000年代初頭)はアメリカに次ぐ世界第2位だったのが、今では第五位となっているそうです。
論文の引用数が上位10%に入る注目度の高い論文については、20年前の世界第4位から第13位まで落ちており、日本の研究者による科学論文の影響力が大きく低下してしまっている深刻な状況です。

なぜ、このような状況に陥ってしまったのか?
2008年にノーベル物理学賞を受賞した益川敏英氏をはじめとした優れた研究者の多くは、科学と産業が近づいていることに警鐘を鳴らしています。

大学における科学研究は本来、目先の成果にとらわれずに、長い時間をかけて取り組むべきはずが、現代では市場原理が介入し、すぐに成果に繋がる科学研究を求め過ぎてしまい、時間のかかる問題に取り組む研究者が減っているそうです。
大学の研究の本質は、純粋な学問的探求にあり、過去のノーベル賞受賞者の例を見ても、経済的合理性とかけ離れたところに大きな発見があることが窺えます。

教育にも同様のことが言えるのではないでしょうか。

「失われた30年」は、「人的劣化=教育の敗北」が招いた結果とも言えます。

この原因はどこにあるのか?
それは、教育産業に“受験戦争”“先取り教育”という過度な市場原理が介入したことに起因するのではないか、と考えています。

幼少期からとにかく知識や技術を詰め込む。
小学生で中学・高校レベルの計算問題ができるようになり、子どもが何となく成長した気になる。
親が支払った月謝の対価を得たような気分になる。

これは、経済的合理性に踊らされている大人のエゴではないでしょうか。

私はスキルの獲得や、知識を詰め込む前に、幼少期に育むべきものがあると思っています。
それは、基礎体力であり、人としての心であり、情緒,他者を思いやる気持ちです。
幼少期に人間の基礎・土台を作り、根をしっかり張った上で、初めてスキルや知識を獲得する段階に入っていくのだと思います。

天才数学者と世界から賞賛された岡潔氏は、幼少の時から祖父に「他を先にして、自分を後にせよ」という道徳教育を施されたと述懐しています。


そして次のように語っています。

「今の教育では、個人の幸福が目標になっている。しかし、個人の幸福は、つまるところは、動物性の満足にほかならない」

私が過去に読んだ岡潔氏の著書には、数式のことや数学をどうやって勉強してきたのか、そんなことは一切書かれていません。
人として大切なのは情緒なのだと、繰り返し述べられています。

<参考書籍>
『情緒と日本人(PHP文庫)』
『数学を志す人に(平凡社)』

「失われた30年」を40年・50年にしないために、今こそ、目先の結果にとらわれない“人をつくる”教育が必要です。
私はそれを柔道を通して実現していきたい、そんな思いでいます。

柔道の創始者・嘉納治五郎は教育について下記のような言葉を遺しています。

教育の事、天下にこれより偉なるは無し、一人の徳教 広く万人に加わり、一世の化育 遠く百世に及ぶ
(天下に教育ほど偉大なものはない。教育は一人の教えたことが広く何万人にも影響力を及ぼし、さらにその死後でも、百代の後までも教えを伝えることができる)

私は教育の結果・成果とは、数十年後,もしくはもっと後に、社会に現れるものだと考えています。

柔道を通した人づくりの結果、日本,世界がよりよい社会になっていることを願ってやみません。
微力ながら、よりよい未来づくりに、柔道を通して貢献したいと考えています。

株式会社志道館
代表取締役 坂東真夕子

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